ICLについて

国際斜面災害研究機構(ICL-International Consortium on Landslides)は、2002年1月に開催されたユネスコ-京都大学共催シンポジウムにおいて設立された。<ICL>

2002年8月にICL本部が、下記の目的を持つ特定非営利活動法人として京都府に認可され、法的地位を得た。

この法人は、社会と環境に資するために斜面災害研究を推進すること、発展途上国における教育を含む能力開発を促進すること、都市、農村、開発が進行しつつある地域、及び文化自然遺産地区における斜面災害危険度を評価し、自然環境と社会的価値の高い地区の保護に資すること、斜面災害危険度軽減に関する国際的な専門技術を統合、企画・調整すること、及び地球規模かつ多領域にわたる斜面災害研究計画を推進することにより、世界各地で発生している斜面災害を軽減することを目的とする。

ICLは、2007年3月に文部科学省から科学研究費申請機関に認定され、2007年4月にユネスコ176執行委員会においてユネスコと共同事業の実施できるNGOに認定され, 2012年3月に諮問資格をもつNGOに認定された。

UNESCO, 京都大学、ICLは、2003年3月にUNITWIN共同計画「社会と環境に資する斜面災害危険度軽減」の設立に合意し、その本部を京都大学宇治構内に設立した。2010年11月にこのUNITWIN共同計画は「社会と環境に資する斜面・水関連災害の危機管理」とその範囲が拡大された。

ICLの会議
  • 2002年1月21-25日に京都において、ICL設立の基礎となった国際地質科学計画IGCP425「文化遺産と地すべり災害予測」の一環として UNESCO-京都大学共催シンポジウム「斜面災害危険度軽減と文化自然遺産の保護」を開催した。その結果、2002年京都宣言「ICLの設立」と定款の採択によるICLを設立した。
  • 2005年1月18-22日の神戸で開催された国連防災世界会議の一環として、「洪水・斜面災害セッション」を開催した。その結果、UNESCO, WMO, FAO, UNISDR, UNU, ICSU, WFEOが、地球システム災害危険度解析と持続できる災害管理に資する研究と教育推進に関する同意書(letter of Intent)に調印した。
  • 2006年1月18-20に国連大学において、ICLと5国連機関等の共催による円卓会議を開催し、「2006年東京行動計画」を採択し、国際斜面災害研究計画(IPL)を設立した。
  • 2008年11月18-21日に第一回斜面防災世界フォーラム(WLF1)を東京・国連大学本部において開催し、48ヶ国から430人が参加した。斜面災害軽減のための世界的中核機関(World Centre of Excellence:WCoEs 2008-2011)を12機関認定した。
  • 2011年10月3-9日に第一回斜面防災世界フォーラム(WLF2)をローマの国連食糧農業機関本部において開催し、63ヶ国から864人が参加した。
  • 2012年1月17-20日に京都に於いて文部科学省の平成23年度科学技術戦略推進費「科学技術外交の展開に資する国際政策対話の促進」の経費を得て、ICLの十周年記念「地震・豪雨地帯の斜面災害危険度軽減に資する科学技術推進のための長期戦略企画国際集会」を開催した。ICL長期戦略計画2012-2021を策定した。世界各地での会員機関と協力機関のイニシアティブによる持続できる活動を推進するための具体策の一つとして、ICLの地域ネットワーク(4)と課題別ネットワーク(5)を設立した。
  • 2014年6月2-6日に北京において第三回斜面防災世界フォーラム(WLF3)を開催する。
  • 毎年11月にパリのユネスコ本部のボンバンビルで定例のICL代表者会議(BOR/ICL)とIPL地球規模推進員会(IPL-GPC)とIPL Symposiumを開催し、ICLとIPLの運営についての決定、研究発表、IPL Projectsの報告と新規プログラムの審査と認定を行っている。
IPLについて
  • 2005年1月の国連防災世界会議(神戸)でのICL共催の「洪水・斜面災害セッション」での提案を受けて、2006年1月に国連大学において、ICLと5国連機関等の共催による円卓会議を開催し、「2006年東京行動計画」を採択し、国際斜面災害研究計画(IPL:International Programme on Landslides)を設立した。
  • ICLは、同上会議の共催機関であるユネスコ(UNESCO)、世界気象機関(WMO)、国連食糧農業機関(FAO)、国連防災戦略事務局(UNISDR)、国連大学(UNU)及び世界的NGOである 国際科学会議(ICSU)、世界工学団体連盟(WFEO))と各々「国際斜面災害研究計画 (IPL)」推進のための協力覚書を交わした。<IPL>
  • IPLを推進するために国際斜面災害研究計画・地球規模推進委員会 (IPL-GPC)が設立された。そのメンバーは、UNESCO、WMO、FAO、UNISDR、UNU、ICSU、WFEO及べICL加盟の55機関の代表者である。毎年、ICLの代表者会議にあわせて会議を開催している。
  • 国際斜面災害研究計画(IPL)では、フルカラーの隔月国際学術誌「Landslides」の発行、世界各国における48課題(2013.4.1時点)の研究・人材育成プロジェクトの実施、3年ごとの斜面防災世界フォーラムの開催と斜面災害軽減のための世界的中核機関(World Centre of Excellence:WCoEs)の認定(2011-2014年:15機関)等を行っている。
Landslides
  • Landslides (岩、土、その混合物の斜面下方運動の総称で、日本語での地すべり、斜面崩壊、土石流、落石、火砕流、海底地すべり等を含む)は、科学、工学、社会、行政の多岐にわたる諸分野が関係するものの、これらを統合する学問分野が確立されておらず、専門の国内学会が設立されているのは日本(日本地すべり学会)のみである。
  • Landslidesの定義も各国、各学問分野でまちまちであった。国連が主導した国際防災の十年(1990-2000)の一環として、ユネスコ, 国際地質学連合(IUGS)等が、関連学会の専門家を集めて、Landslidesの定義を統一を行った。それが「The movement of a mass of rock, debris, or earth down a slope」である。そして、各種のタイプの運動が、材料と運動の組み合わせにより岩盤崩落 (Rockfall), 土石流 (debris flow)のように表現されるがその総称がLandslidesである。その結果は、1996年のアメリカ学術会議特別報告247 Landslides-Investigation and Mitigation (Keith Turner & Robert Schuster編集、675頁)等で世界的に広く配布・販売され、世界的に少なくとも学術的にはこの定義が用いられている。
  • 日本以外の国には、Landslidesのための専門の学会はないが、Landslides研究を世界的に統一された科学として確立するための学術誌を刊行することが目的である。Landslidesを扱う学問分野は様々であり、共通に通じない言葉や概念が多々あるが、すべての研究者にとって共通なものはLandslidesの現象そのものである。したがってこの雑誌では、Landslidesの写真はすべてフルカラーで印刷されている。カラー写真から、地質、地形、土質、水文、生態、災害、計測、防災対策などの専門家が得る情報は必ずしも同じではない。
  • Landslidesの編集事務局は、京都大学宇治構内のUNITWIN本部棟に置いている。編集会議は、日本と海外外をskypeでつないで実施している。分野が多岐にわたるために登録されている編集者は約100名、レビューアーは約400名である。
  • Landslidesの第一巻は、2004年4月に出版され, 2005年からISI Journalに認定され、2015年のImpact factorは、3.049である。
  • 現在、年6回発行で、一号平均250頁出版している。編集は、ICL, 出版配布はドイツのSpringer社である。<http://www.springer.com/earth+sciences+and+geography/natural+hazards/journal/10346>

    投稿編集は、Editorial Manger http://www.editorialmanager.com/lasl/

挨拶


ご挨拶

気候変動に伴う豪雨の頻発、活発化する地震活動、都市・山地・沿岸開発・道路建設など人間活動の拡大に伴い世界各地で地すべり、斜面崩壊、土石流、岩盤崩落、海底地すべりなどの広い意味での地すべり(Landslides)による災害危険度が増加しつつあります。日本は、地震・豪雨の多発地帯であり、狭い国土のほとんどが傾斜地で占められ、古くより種々の地すべり災害に苦しんできました。そのため世界で唯一の全国規模での地すべり専門の学会、日本地すべり学会が設立され、その活動の一つとして、1987年から2003年まで赤・青・黒の3色刷の国際地すべりニュースレター “Landslide News”を編集・印刷し、海外に2000部を無料配布してきました。この活動が、日本を中核とする世界的地すべりネットワークの構築に寄与しました。

二十世紀最後の十年間(1990-1999年)を、災害を防ぎ、より安全な世界を二十一世紀に残すための国際防災の十年(IDNDR)が、世界規模で実施されましたが、その一環として実施された日中共同研究「中国西安市の麗山(楊貴妃の宮殿)の地すべり災害予測(1991-1998年)」において、唐の時代から千数百年にわたって安定であった斜面の地すべり危険度予測の研究が成果をあげ、地すべり前兆段階にある宮殿裏山斜面に対して、大規模な斜面安定対策工事が実施されました。この研究成果をさらに発展させるためにユネスコの国際地質対比計画IGCP-425「文化遺産と地すべり災害予測(1998-2003)」の研究が採択され、各国からの参加研究者の研究推進に大きく貢献しました。この共同研究に参画した研究者達が、 IGCPに代わる地すべりに関する国際研究計画(IPL)の設立をめざし、2002年1月にその運営組織としての国際斜面災害研究機構(ICL)を設立しました。

2002年8月にこの国際斜面災害研究機構(ICL)の本部が、特定非営利活動法人として京都府に認可され、法的地位を得ました。

この法人の設立目的は、社会と環境に資するために斜面災害研究を推進すること、発展途上国における教育を含む能力開発を促進すること、都市、農村、開発が進行しつつある地域、及び文化自然遺産地区における斜面災害危険度を評価し、自然環境と社会的価値の高い地区の保護に資すること、斜面災害危険度軽減に関する国際的な専門技術を統合、企画・調整すること、及び地球規模かつ多領域にわたる斜面災害研究計画を推進することにより、世界各地で発生している斜面災害を軽減することです。

ICL設立後の主な活動は、2004年に創刊した国際地すべりジャーナルLandslides: International Consortium on Landslides(毎月発行)、2022年インパクトファクター:6.7)の編集((独)スプリンガー社出版)と三年に一度開催する斜面防災世界フォーラム、世界各国のICL会員機関が推進する国際斜面災害研究計画(IPL)プロジェクトなどです。第5斜面防災世界フォーラムは、2021年11月に国立京都国際会館において開催しました。第6回の斜面防災世界フォーラムは、2023年11月にイタリア国フローレンス市で開催されました。

これらのより詳しい活動については、次のICLの概要文書、日本語WEB、英語WEBをご参照ください。

ICLの概要と本部の役員:https://icljp.landslides.org/?cat=8

国際斜面災害研究機構(ICL) 英語WEB :https://www.landslides.org/

国際斜面災害研究機構(ICL) 日本語WEB :https://icljp.landslides.org/

国際斜面災害研究計画(IPL)の英語WEB:https://www.landslides.org/ipl/

第5回斜面防災世界フォーラムの英語WEB:https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/12175533/wlf5.iplhq.org/

第6回斜面防災世界フォーラムの英語WEB:https://wlf6.org/

なお、特定非営利活動法人 国際斜面災害研究機構の現在の役員・委員会・アドバイザーは下記の通りです。

役   員

理 事

理 事 長

佐々 恭二

経営担当理事

寶   馨

学術代表

小長井一男

出版理事

佐々真志

監 事

西川 智

Binod TIWARI

委 員 会

科学委員会

学術代表

小長井一男

出版委員

佐々 真志

Zeljko ARBANAS

Binod TIWARI

研究委員

宮城 豊彦

研究推進員

カン ダン

ロイ ドアン

広報委員会

広報委員

廣田 清治

国際・国内アドバイザー

シニア アドバイザー

Salvano BRICENO

国連国際防災戦略事務局・元事務局長

IPL アドバイザー

Badaoui ROUHBAN

ユネスコ・元防災部長

KLC2020 アドバイザー

Nicola CASAGLI

第7期ICL 会長

ICL アドバイザー Jagath Gunatilake ペラデニア大学・スリランカ-日本研究センター長
ICL アドバイザー 西川 智

東北大学災害科学国際研究所 特任教授

ICL アドバイザー 東畑 郁生

国際地盤工学会元副会長

ICL アドバイザー 落合 博満

日本地すべり学会元会長 (山地災害)

ICL アドバイザー 土屋 智

日本地すべり学会元会長 (砂防学)

事務局
 事務担当者 上田 美恵 会計担当
藤田久美子 庶務担当
通報窓口 研究活動上の不正行為に関する通報・相談の窓口
コンプライアンス コンプライアンス責任者に理事長をあてる。
その他の理事は、コンプライアンス責任者を補佐する。

斜面災害危険度軽減のための研究と教育を推進するために、皆様のご支援とご協力をお願いいたします

特定非営利活動法人 国際斜面災害研究機構 理事長 佐々恭二

活動・プロジェクト

年6回発行(120頁/号)のLandslides: Jornal of International Consortium on Landslides、毎年開催のICL代表者会議とIPL Symposium、3年ごとに開催する斜面防災世界フォーラム(World Landslide Forum)を活動の核として、次の活動を行っている。

 

48課題の国際斜面災害研究プロジェクト(IPL-Projects)を実施している。この中には、日本を中心とするJST-JICA地球規模課題研究プロジェクト(SATREPS) を基礎とする「スリランカにおける降雨による高速長距離運動土砂流動災害の早期警戒技術の開発」 IPL-175 「ベトナムと大メコンケインの他の地域における斜面災害危険度軽減技術の開発と教育」、IPL-161 「クロアチア土砂・洪水災害軽減基本計画構築」ほか、世界各国において、ICL機関から提案されたプロジェクトが実施されている。<Ongoing Project >

 

ICLでは、ICLの十周年会議で採択したICL長期戦略計画2012-2021での検討に基づき、下記のICLの地域ネットワークと課題別ネットワークを設立し、各ネットワーク毎に活動を実施している。

地域ネットワーク:東北アジアネットワーク、アドリア-バルカンネットワーク、ラテンアメリカネットワーク、東南アジアネットワーク

課題別ネットワーク:人材育成ネットワーク、地すべり危機管理ネットワーク、寒冷地帯の地すべりネットワーク、地すべりと文化自然遺産ネットワーク、地すべり計測と警告ネットワーク<ICL Networks>

 

ネットワーク活動を支える基盤として、文部科学省から平成24年度政府開発援助ユネスコ活動費補助金を得て、地すべり教材(ICL Landslide Teaching Tools)を開発し、拡大改良を実施している。これは教科書に相当するテキスト(本),世界各国で作成されるガイドライン、マニュアル、ケーススタディー、重要文献とうを収録したCD, 及び講義用のPPTからなる。

著作権、定期的なupdateと質問に対する答えの責任は、ICL機関とTeaching Tool協力機関に属する。執筆機関と教材にはおのおの識別番号が与えられている。例:TXT-Tool 3.081-1.2 地すべりダイナミクス(3: 試験とシミュレーション分野、081: 日本、1:ICL本部、2:教材の2番目)など